お墓選びのポイントは? 沖縄のトレンド
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- 2015-10-05
建てる前も、建てた後も 家族の事を考えた
先祖を供養し、家族との絆を確かめ合う場所、お墓。しかし、いざお墓を建てるとなると、一生に一度あるかないかの経験に戸惑うことも少なくありません。高額商品である墓石購入の際、どんな点に注意したらいいのか? また建てた後のメンテナンスまでを見据え、良心的な業者を選ぶポイントをまとめました。代々引き継ぐお墓は「建てたら終わり」ではありません。家族の状況に合わせた墓石のあり方にも新たな風潮が見られます。
人気の形も時代で変化
沖縄で最も普及している墓型は屋根の付いた「破風型」(家型)。設置面積が一坪程度、墓石の高さは2メートル50cm程度、骨壺10柱が収まる大きさで価格は300万円程度。本土式に家名を刻む石碑を沖縄の家型墓石上部に乗せた折衷型の「軸石型」も次いで人気があります。石材の重量・比重の違いから、破風型よりは50万円ほど安いです。
最近は、それよりコンパクトなサイズの200万円前後の破風型や100万円前後の軸石型もコスト面から好まれる傾向にあり、現在、需要は破風型が7割、軸石型が3割ですが、核家族化が進む中、骨壺2~3柱程度の墓石もニーズが増しており、今後、割合は変化していくと見られます。
墓作りを施工業者任せにして、後々、石室内のスペースが狭く、骨壺が収まらなかったといったトラブルも散見されます。まずはプランや家族の意見も合わせて、専門業者に相談しましょう。
石材の種類と変遷
石材の変遷を見てみると、古い亀甲墓に見られるように、かつては琉球石灰岩を使った墓が主流でしたが、現在では容積の大きい上質な琉球石灰岩が手に入りにくくなっています。戦後は価格が安く、簡単に手に入るコンクリート製のお墓が多く作られましたが、沖縄の厳しい環境下では耐久性が低いため、現在では減少しています。
大理石も一時期流行りましたが、湿気の多い沖縄では石の伸縮が激しく、今は使われなくなりました。現在では耐久性が高い御影石が主流となっています。御影石はほとんどが中国からの輸入品。石のランクはありますが、豊富な産出量を持つ中国製品と国産にはそれほど品質の差がないそうです。
最近では故人の好きだった三線などのアイテムを墓石に彫り込んだり、幼くして亡くなった故人には好きだったキャラクターなどの石像を一緒にまつることもあるそう。生前の故人を物語るデザインを取り入れた西洋風の「モニュメント」としての墓石もニーズが高まりつつあります。
良い業者の条件とは
お墓購入はその後の維持・管理の視点も忘れてはいけません。施工後のアフターケアがしっかりしているか否かも業者選びの重要なポイント。何らかの瑕疵(かし)が見つかった時、丁寧な業者がいる一方で、パーツの交換代や修繕に追加料金を請求された-などのトラブルもあります。まずは石材のカット技術、石工の組み立て技術が高い業者を選びましょう。
施工業者を選ぶ際は、意外とあてになるのが身近な人の「口コミ」。地域で人気のある施工業者の情報収集も頭に入れておきましょう。最期のお別れとなる納骨の際、対応が丁寧か、参列者の気持ちまで配慮した業者かどうか、ポイントとなります。また墓参りを頻繁に行う本土と比べ、沖縄では墓に行くのはシーミーや旧盆など年に2、3回程度。その分、墓掃除も家族総出の大変な重労働となりますが、こうしたクリーニング業務を相談できる業者もあるので、後々のケアも考えて相談できる業者を見つけておきたいですね。
沖縄の墓 いま・むかし
【写真上】廃藩置県後、士族から庶民にも広まった亀甲墓。亀甲形は女性の子宮を表し、子宮から生まれ子宮に戻る「輪廻転生」の思想が反映されている。
【写真下】戦後、火葬の普及と共に小型の家形墓に移行した。写真下は県内最大の門中墓、糸満市の「幸地腹・赤比儀腹両門中墓」(1964年撮影)。陶芸家・濱田庄司、バーナード・リーチ氏も見学に訪れた。
墓地埋葬法
本土復帰以降、自治体が「墓地」と認めた場所でないと遺体(遺骨)を埋葬できないと定めた法律。霊園墓地は本来、自治体、寺などの宗教法人、財団法人のみが運営でき、個人墓は原則認められない。沖縄の場合、かつては主流だった門中墓から戦後の核家族化で「家族墓」(個人墓)が増え続けており、都市計画の支障となるケースが社会問題化している。さらに少子高齢化で墓の継承者がいない無縁墓の増加も懸念されている。県は個人墓の集約を進めると同時に設置時の申請・許可を得るよう求めているが、法律が十分周知されていないこと、また墓地不足から、無許可の個人墓は増えていると見られる。
墓じまいとは?
「改葬」(お墓=遺骨の引っ越し)と同じ意味合いで、墓の後継者がいない、お墓が遠方にある-などの理由から、墓石を撤去し更地に戻して、お墓を閉じることを「墓じまい」と言う。お墓からお墓、お墓から合同供養墓などへ引っ越す場合は手続きが必要。
寿陵墓(じゅりょうぼ)とは?
生前に建てる墓のこと。もともと中国で始まった。歴代皇帝や、日本では聖徳太子が生前に作った記録が残っている。「寿陵」には長寿、縁起担ぎの意味がある。近年では終活ブームもあり、生きているうちに墓を建てる人が増えている。また子ども世帯に墓探しや経済的負担をかけたくないという背景もある。ちなみにお墓は非課税で、相続税、固定資産税がかからない。生前にお墓を建てておけば建てた費用分だけ相続税のかかる遺産が減るので、節税対策にもなる。
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